B型肝炎給付金に税金はかかる?

B型肝炎給付金に関する税金について解説します。所得税や相続税など、課税関係についてのお話です。

「国から直接受け取った人には課税されない」という原則があるため、 本人がB型肝炎給付金を受給するときには、所得税やその他の税金はかかりません。
本人死亡後に相続人が受給したときの相続税も課税されません。

受給した人から他の人へお金をあげた場合の贈与税や、受給した人が死亡したときの相続税は課税されます。一般的な控除枠内なら税金はかかりませんが計算の対象になります。

B型肝炎給付金の税金

1. B型肝炎給付金の税金に関する考え方 

B型肝炎給付金は非課税です。
厚生労働省からの照会に対する国税庁からの回答にも、非課税であることが明記されています。ただ、専門用語が多すぎて何が書いてあるか分かりにくいので、日常的な言葉に翻訳して解説します。

 ※集団予防接種等に起因するB型肝炎訴訟における「基本合意」により和解対象者が支払を受ける和解金等の課税関係について(https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/shotoku/110704/index.htm)

B型肝炎給付金に税金がかからない理由は「損害賠償金又は見舞金としての性格を持つものと考えられる」からと説明されています。

税金というのは、得をした人に課されます。働いてお金を稼いだり、人から何かもらったりした場合、得したうちの一部が税金として取り立てられるというわけです。「一生懸命働いて稼いだお金は得したわけじゃない」と思うかもしれませんが、「得した」=「何かを得た」と考えてください。

それでも「働いて稼いだお金」と「何もせずに人からもらったお金」を同じように「得した」と考えるのは納得いかないと思います。その点、税金はきちんと考えてあって、この2つを同じようには扱いません。

「働いて稼いだお金」 → 所得税

「何もせずに人からもらったお金」  → 贈与税

という風に区別していて、税率、つまり得した金額から税金として払わないといけない額の割合も異なります。基本的に、楽して手に入れたものほど税率が高くなるため、贈与税の方が所得税より税率が高くなっています。

B型肝炎給付金を受け取るということは、ここでいう「得をした」ことになり、働いて稼いだわけではないので、贈与税がかかるのではないか?と思われるかもしれません。
しかしながら、B型肝炎給付金を受け取る方はお金を手にするよりも先にB型肝炎ウイルスに感染するという被害を受けています。人にもよりますが基本的には、健康・医療費・病院に通う時間など、感染したことで失っているものがある、つまり損している、と考えられます。
そして、損したことの埋め合わせとして、国からB型肝炎給付金というお金が支給されるのです。つまり、B型肝炎給付金を受け取ってやっとプラスマイナスゼロになったわけで、得をしているわけではありません。

働いて稼ぐということも、まずは労働という「損」があって、その埋め合わせとしてお金がもらえると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、働く場合は対価を受け取るために自ら労働を提供しています。 それに対してB型肝炎給付金の場合は、自分から望んでもいないのに国から被った被害がまず先にあります。本当はお金ではなく、被った被害そのものを元に戻すべきですが、それは不可能なので仕方なく被害をお金に換算しているのです。
したがって、得した人に課される税金は、得をしてないB型肝炎給付金の受給者には課されないということになります。

これが、「損害賠償金又は見舞金としての性格を持つものと考えられる」から非課税になるということの意味です。

2. 検査費用や弁護士費用として支給されるお金について

B型肝炎給付金と一緒に受け取れるお金にも税金はかかりません。
具体的には以下のようなものがあります。

  • 除斥期間を経過した無症候性キャリアに支払われる検査費用等

50万円で和解したキャリアの方が今後受け取る検査費用や感染防止費用です。
給付金そのものと同じ扱いになるため、非課税です。

  • 母子感染、父子感染及びジェノタイプに関する検査費用

訴訟のときに証拠として提出する検査記録のうち、和解したら国から検査費用が支払われるものです。
この検査費用は、そもそも国が負担するべきものを立て替えているだけなので、所得税はかかりません。

  • 弁護士費用相当額

弁護士費用として給付金の4%が支給されるものです。
B型肝炎給付金自体が非課税で、それを受け取るための必要経費なので、これも課税対象にはなりません。

3. 給付金対象者本人が受け取った場合の所得税

B型肝炎ウイルスに感染した本人が給付金を受け取る、一番典型的なケースの場合、原則どおり非課税です。損害賠償金又は見舞金的なものであるB型肝炎給付金を、被害者本人が受け取るからです。

4. 本人死亡後に相続人が受け取った場合の相続税

本人が死亡した後に、相続人がB型肝炎訴訟をして給付金を受け取るケースの場合、本人がもらうはずだったものを相続人が受け取るかたちになるので、相続税がかかるんじゃないのか?という点が気になると思います。しかし、このケースで相続税はかかりません。もちろん、所得税も非課税です。

理由としては、遺族にB型肝炎給付金が支払われる場合は「損害賠償金又は見舞金等に相当するものとして遺族に対し直接支払われるもの」と考えられるためです。お金の流れのイメージとしては、

 国 → 亡本人 → 遺族

ではなく、

 国 → 遺族

ということになり、遺族が直接もらう見舞金なので相続財産ではなく、相続税もかからないというわけです。

遺族が直接もらうのなら、所得税が問題になってきますが、そこは本人が生前にもらうケースと同じ理由で、所得税も非課税になります。

5. 受給した人から他の人へお金をあげた場合の贈与税

本人が給付金を受け取って、家族に渡したようなケースを考えてみましょう。

これは普通に贈与税の対象になります。
本人が受け取った時点で本人の財産になっているので、ポケットマネーから出したという扱いになります。したがって、一般的な贈与となり、贈与税の対象になります。

贈与税には控除の仕組みがいろいろあるので、必ずしも贈与税をとられるとは限りません。贈与してもらう側がいろんな人からもらった合計額が年間に110万円までであれば贈与税はかからないため、B型肝炎給付金としてもらったお金を誰かにあげた場合も、受け取る側がこの範囲に収まっていれば贈与税は課税されません。

B型肝炎給付金に税金がかかるかどうかを考えるときは、「国から直接受け取った人には課税されない」というのを基本の考え方とするとわかりやすいです。
受給した後は個人の財産なので特別扱いはなくなるということです。

6. 受給した人が死亡したときの相続税

最後に、本人が生前に給付金を受け取り、その後に死亡して遺族が相続するというケースを見てみましょう。

この場合は相続税がかかります。
考え方は贈与の場合と同じです。本人が受け取った時点で給付金は本人のポケットに入っているので、他のポケットマネーと混ざって本人の財産になっています。それを相続するときは、他の財産と合わせて全部含めた相続財産として扱われます。

相続税にも控除の仕組みがあるので、相続税が実際にとられるかどうかは相続財産全体の金額や相続人の数などによって変わってきます。B型肝炎給付金としてもらったお金も、その計算の中に含まれるということになります。

「国から直接受け取った人には課税されない」というのを基本的な考え方とすると、今回の場合は、国から受け取ったのは本人であり、遺族は本人から財産として相続することになるため、特別扱いはなく、相続税が課税されるということです。

7. まとめ

B型肝炎給付金の請求を考えるときに税金はどうなるかが気になる人は、かなり先のことまで計算できる聡明な人だと思います。この記事で解説したように、国からB型肝炎給付金を受け取ることについては基本的に非課税なのでご安心ください。受け取った後のことについては、一般的な税金の原則どおりとなります。

税金のこと以外でも、B型肝炎給付金の手続きで気になることがあれば弁護士に相談するのが早くて確実です。何か事情がある場合でも、弁護士ならその事情を踏まえた対応策を提案してもらえます。

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