B型肝炎とC型肝炎は何が違うの?
B型肝炎とC型肝炎の違いは、原因となる肝炎ウイルスの種類の違いです。
肝炎ウイルスが原因で起きる肝炎をウイルス性肝炎といい、原因となる肝炎ウイルスの種類によって経過や治療法などが違ってきます。
肝炎ウイルス感染の流行を防ぐことは、社会的な課題でもあります。このため、検査や治療薬に自治体の補助金が出たり、政策上の不備で感染した人には給付金が支給されたりといった制度があります。
[目次]
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- 肝炎ウイルスとは
- B型肝炎・C型肝炎の違い
(1)感染者数
(2)感染経路
(3)感染した場合の発症率
(4)発症後の特徴
- 補助金・助成金
- 給付金
(1)B型肝炎給付金
(2)C型肝炎給付金
- まとめ
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1. 肝炎ウイルスとは
肝炎ウイルスとは、肝臓に感染して肝炎を引き起こすウイルスです。肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型、TT型と様々な種類がありますが、まだ充分に研究が進んでいないものもあり、肝炎の原因になるのかどうかがよく分かっていないウイルスもあります。
主な肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスです。B型肝炎ウイルスが原因の肝炎をB型肝炎、C型肝炎ウイルスが原因の肝炎をC型肝炎といいます。
慢性肝炎の原因には、肝炎ウイルス以外にもアルコールや肥満などがありますが、日本の慢性肝炎の90%は肝炎ウイルスが原因です。その中でも、15%から20%はB型肝炎ウイルスが、70%はC型肝炎ウイルスが原因となっています。
また、肝がんの原因のうち、15%はB型肝炎ウイルス、65%はC型肝炎ウイルスの感染が原因と言われています。
2. B型肝炎・C型肝炎の違い
(1)感染者数
日本には推定で、B型肝炎ウイルスの感染者が130万~150万人、C型肝炎ウイルスの感染者が150万~200万人いるといわれています。
(2)感染経路
B型肝炎ウイルスの感染経路は血液や体液の接触です。性的接触によっても感染します。出産時に母子感染しますが、現在では防止措置が行われ母子感染はほとんどなくなっています。空気感染や経口感染はありません。
また、昭和63年以前の集団予防接種では注射器の使い回しがあり、推計45万人が感染したとされています。
C型肝炎ウイルスの感染経路は主に血液で、体液や性的接触による感染や母子感染はほとんどありません。空気感染や経口感染もありません。
過去にミドリ十字社(現・田辺三菱製薬)が販売していたフィブリノゲン製剤による感染がありました。薬害エイズ問題は有名ですが、薬害C型肝炎も薬害エイズと同様で大きな問題で、フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染者は1万人と試算されています。
(3)感染した場合の発症率
B型肝炎ウイルスに大人が感染しても、免疫の働きによってウイルスが排除されるので通常は一過性の感染で終わります。症状は出ないことが多いですが、20%から30%は急性肝炎を発症します。急性肝炎のうち1%から2%は劇症肝炎を発症することがあり、その場合は70%から80%が死亡します。
母子感染や幼少時の集団予防接種などで感染した場合は、免疫の働きが未熟なためにウイルスを排除できず、持続感染してキャリアとなります。
B型肝炎ウイルスキャリアのうち、10%から15%が慢性肝炎を発症し、悪化すると肝硬変、肝がんへと進行します。
C型肝炎ウイルスに感染した場合、約70%が持続感染となり慢性肝炎を発症します。進行は早くないですが、治療せずに放置すると肝硬変、肝がんになります。
C型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに比べ、大人になってからでも持続感染しやすく、一度感染すると慢性肝炎になりやすいため注意が必要です。
(4)発症後の特徴
B型肝炎ウイルスは、DNAウイルスという種類のウイルスです。細胞の核まで入り込むため、肝がんへの進行が速く、肝硬変を発症していない状態の慢性肝炎からいきなり肝がんを発症することもあります。
感染力が強く、持続感染すると身体から完全に排除することはできません。ウイルスを抑え続けるしか治療方法がないため、症状が治まった後も薬を飲み続けなければならないこともあります。
C型肝炎ウイルスは、RNAウイルスという種類のウイルスです。発症しても進行は遅く、肝硬変、肝がんと段階的に進行します。いきなり肝がんになるようなことはありません。
近年、治療薬が目覚ましい進歩を遂げ、ウイルスをほぼ完全に排除できるようになりました。C型肝炎は今では飲み薬で治る病気になっています。
3. 補助金・助成金
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスともに、多くの自治体で無料の検査を実施しています。また、治療についても自治体によって一定の条件で医療費助成を行っています。
自治体ごとに異なるので、お住まいの自治体でどんな助成を行なっているかご確認ください。
4. 給付金
(1)B型肝炎給付金
幼少期に受けた集団予防接種でB型肝炎ウイルスに持続感染した方を対象として、国からB型肝炎給付金が支給されます。
金額は病態ごとに決められていて、最大3600万円を受け取ることができます。
(2)C型肝炎給付金
出産や手術などで大量出血したときに、特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固剤を投与されたことでC型肝炎ウイルスに感染した方を対象として、国からC型肝炎給付金が支給されます。
金額は症状に応じて決められていて、最大4000万円を受け取ることができます。
5. まとめ
肝疾患の大部分は肝炎ウイルスが原因で、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスがそのほとんどを占めています。いずれも放置すれば死に至る病気ですが、きちんと治療を受けて症状を抑えたり治したりして健康な生活をおくっている人もたくさんいます。
大切なのは予防と治療について正しい知識をもつことです。
また、社会政策として多くの助成や給付金が用意されています。これらについても正しい知識で利用することで、経済的な負担も軽くすることができます。