B型肝炎訴訟には期限があります

B型肝炎訴訟で給付金を請求するには期限があり、2022年(平成34年)1月12日までに訴訟を起こす必要があります。
また、新たな症状を発症してから20年経過すると、請求できる金額が大きく減ってしまいます。

明確な日付のある期限以外でも、手続きを始めるのが遅れると請求が難しくなる場合があります。
B型肝炎訴訟では自分の証拠以外に母親や兄、姉の検査結果が必要になりますが、こういった家族の検査に時間がかかったり、協力が得られなくなったりする場合もあり、自分以外の家族の状況が変わることで実際の請求のハードルが上がることがあります。

1. B型肝炎訴訟をする期限

B型肝炎訴訟で給付金が支給されるのは、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」という法律が作られたからです。やたら長くて早口言葉みたいですが、これを暗記する必要はありませんのでご安心ください。

この法律ができたのが、2012年(平成24年)1月13日のことです。そのとき、B型肝炎訴訟で給付金を請求できる期限は5年以内と定められていました。つまり、2017年(平成29年)1月12日までということです。
その後、期限が延長されて10年以内と変更された結果、2022年(平成34年)1月12日まで請求できることになりました。請求するというのは具体的には訴訟を起こすということですので、結局、2022年(平成34年)1月12日の期限の日までに提訴する必要があります。

期限の日までに訴訟を起こしていれば、訴訟がその後どんなに長引いたとしても大丈夫です。長引かないに越したことはないですが、ひとまず訴訟を起こすのが期限に間に合えば、その後の訴訟で期限を気にする必要はありません。
訴訟中に期限がきた場合、訴訟が終わったら1ヶ月以内に社会保険診療報酬支払基金へ給付金を請求しないといけませんが、これは普通に手続きを進めていれば間に合います。

訴訟を起こすまでにどれくらいの時間がかかるかについては、人によって様々です。早ければ1ヶ月以内に提訴できる人もいますし、難航すれば訴訟するまでに何年もかかる人もいます。平均的には6ヶ月~1年ほどで訴訟準備は整いますが、自分が難航しないという保証はないので、準備は早めに進めるべきです。

2. 発症してからの期限

B型肝炎訴訟で支給される給付金は、肝臓にどれだけ重い症状が出ているかによって金額が違います。そして、その症状が発症してから20年経っていると、請求できる金額が大きく下がります。この20年を除斥期間といいます。
例えば、慢性肝炎の給付金額は1250万円ですが、慢性肝炎を発症してから20年以上経っていると、300万円や150万円になってしまいます。

なぜ20年経つと請求できる給付金が下がるのかというと、法律の一般的なルールとして、一定の時間が経つと権利がなくなってしまうからです。時効という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、それと似たようなものです。
例えば、交通事故で車にひかれて、運転していた人に慰謝料請求するのも、事故から20年経つと請求できなくなってしまいます。

ただし、B型肝炎の給付金請求の場合、病態が進行すると除斥期間の20年はリセットされます。
例えば、慢性肝炎を発症してから20年以上経っていた場合は300万円、もしくは150万円しか請求できませんが、その後に軽度肝硬変を発症すると、軽度肝硬変を発症した日から20年経つまでは2500万円を請求できます。この例の場合、合計で最高2800万円請求できるということです。

今の症状が発症してからそろそろ20年経つかも、という人はご注意ください。訴訟を起こすタイミングがちょっと違うだけで、請求できる金額が大きく違ってしまうかもしれません。

20年経ったかどうかの開始日がよく分からないときは、早めにB型肝炎訴訟を扱っている弁護士に相談することをお勧めします。

3. 遅くなるほどハードルが上がる

B型肝炎訴訟で準備する証拠資料には、母親から感染っていないことを確認するためにお母様の血液検査記録も必要になります。お母様がお亡くなりになっている場合には、お兄様やお姉様の血液検査で代用ができるので、お母様の検査ができないと絶対に請求できないというわけではありませんが、この他にも様々なケースで、家族の協力が必要になることがあります。

このとき、協力してもらいたいご家族が既にお亡くなりになっていて、必要な証拠が準備できないということもあります。他の方法で対応できることもありますが、訴訟を断念せざるをえない場合もあります。
大切なご家族の万一のことは考えたくありませんが、自分自身や残されたご家族のことも考えると、B型肝炎訴訟の準備は早めに始めるに越したことはありません。ご家族が健康に問題を抱えている場合は、尚更早めの方が負担をかけずに協力してもらうことができます。

疎遠になっていてご家族の連絡先が分からないようなときは、弁護士に依頼すれば現住所を調査することもできます。こうした調査にも時間がかかりますので、早めに弁護士に依頼する方が安全です。

4. 二次感染者は時間がかかる

母親がB型肝炎訴訟で給付金の対象となっている場合、母親から子供に感染していればその子供は二次感染者として給付金の対象になります。この場合は、母親が一次感染者として請求できることが前提となるので、準備しなければならない証拠は通常よりも多くなります。

母親がまず訴訟してみて、給付金がもらえたら自分も二次感染者として請求する、というかたちをとることも多いです。

二次感染者も訴訟の期限は変わらないので、その分早めに手続きをスタートしておく方が安心です。

5. まとめ

明確な日付が決められている期限から、期限ではないけれど手続きが遅くならないように考慮しておかなければならないことまでご紹介しました。

B型肝炎訴訟は、期限が迫っているかどうかに関わらず、しでも早く手続きを始めた方が、請求できる可能性も上がりますし、手続き自体もスムーズに進みます。

また、期限が迫っていたり、期限を過ぎていそうなときでも、無理だと思ってあきらめずに弁護士に相談してみてください。B型肝炎訴訟に詳しい弁護士なら、ギリギリの期限に間に合わせる方法を知っていたり、期限を過ぎても別の角度から考えて訴訟ができたりすることがあります。

相談するだけなら無料の弁護士も多いので、自己判断で期限切れだと判断せず、弁護士に相談しましょう。

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