B型肝炎の感染力

B型肝炎ウイルスはHIVの50倍から100倍は感染力があると言われており、非常に感染力の強いウイルスです。
全世界で推定2億5700万人がB型肝炎に感染していて、肝硬変や肝がんも含めて毎年80万人以上の人がB型肝炎ウイルスが原因で亡くなっています。

今回は、ここまで感染を拡げているB型肝炎ウイルスの感染力に着目してみます。

風邪をひいた人

1. B型肝炎ウイルスの感染力

B型肝炎ウィルスの感染力の強さをご存知でしょうか?

チンパンジーを使ったB型肝炎ウイルス感染の実験では、10コピー相当のB型肝炎ウイルスの接種で感染が起こると報告されています。「10コピー相当」というのは、B型肝炎ウイルスの遺伝子が10セット分ということです。遺伝子というと、DNAの二重らせん構造をイメージする人は多いと思いますが、その二重らせん構造が1セットで1コピーです。
そう考えると、「10コピー相当」というのがいかに少ない数のウイルスかお分かりいただけると思います。それだけ少ない数のウイルスでも感染が起きるという事実が、B型肝炎ウイルスの感染力の強さを物語っています。

遺伝子の数の話だけではピンとこない、という人もいると思いますので、大きさで比較してみます。

ウイルスの中には通常1コピー、つまり1セットのDNAが入っているので、「10コピー相当」というのをウイルスの粒が10個分と考えます。B型肝炎ウイルスのサイズは直径42ナノメートルです。1ナノメートルは1ミリメートルの1,000,000分の1なので、B型肝炎ウイルスは0.000042ミリメートルです。

この数字を見てもよくわからないと思いますので、身近なものを基準にして比較してみます。
日本人の髪の毛の太さは0.08ミリメートル程です。ミリメートルですとわかりにくいので、ミリメートルより単位を1つ下げてマイクロメートルという単位にすると、80マイクロメートルです。これを基準にすると、

  • 髪の毛の太さ 80マイクロメートル
  • スギ花粉 20~40マイクロメートル (髪の毛の1/4〜1/2)
  • ヒノキ花粉 30~40マイクロメートル (髪の毛の3/8~1/2)
  • 黄砂 4マイクロメートル (髪の毛の1/20)
  • PM2.5 2.5マイクロメートル以下 (髪の毛の1/32以下)
  • 細菌 1マイクロメートル (髪の毛の1/80)
  • インフルエンザウイルス 0.1マイクロメートル (髪の毛の1/800)
  • B型肝炎ウイルス 0.042マイクロメートル (髪の毛の1/2000)

B型肝炎ウイルスがもの凄く小さいことがお分かりいただけたでしょうか?こんなに小さなウイルスの粒が10個あるだけで感染してしまうのです。
本当にほんの少しの量のウイルスでも感染力をもつのです。

2. 体内のウイルス量

B型肝炎ウイルスに感染している人の血液中のウイルス量は、常に一定しているわけではありません。
感染の段階や免疫の働きによって常に変化しています。B型肝炎ウイルスの量が多くなるほど、その血液の感染価が上がり、感染力が高くなります。

血液中のウイルス量を測る指標となる検査に、HBs抗原とHBe抗原があります。これらはウイルスそのものではなくウイルスの材料となるタンパク質であり、ウイルスの残骸のようなものです。

B型肝炎ウイルスは二重構造になっていて、ウイルスのDNAを包んでいる核の部分と、それを覆っているエンベロープと呼ばれる外殻で形作られています。

HBs抗原とは、B型肝炎ウイルスの外殻を作っているタンパク質です。
B型肝炎ウイルスが肝細胞に感染して増殖するとき、DNAをコピーするのとは別に入れ物として外殻を作り、コピーしたDNAを入れて放出します。このとき、この外殻を作るためのタンパク質が過剰に作られます。そして余った分はDNAの入っていない粒子として血液中に出ていきます。
B型肝炎ウイルスに感染している人の血液中には、一般的にB型肝炎ウイルス1個に対して外殻のみの粒子が500個から1,000個存在しています。

HBe抗原は、B型肝炎ウイルスの核の一部を作っているタンパク質です。
こちらもHBs抗原と同様、ウイルスが増殖するときに大量に作られます。使われなかった分は粒子を形成せずにそのまま血液中に流出します。

こうして血液中に放出されたHBs抗原やHBe抗原が、血液検査で検出されます。

血液中のHBs抗原やHBe抗原が陽性になっているときは、肝臓でB型肝炎ウイルスが活発に増殖しているということです。血液中にもB型肝炎ウイルスが多くなっているため、感染力も強い状態と言えます。

3. B型肝炎ウイルスの消毒

B型肝炎ウイルスは、体外に出ても7日間は感染力のある状態が持続します。熱にも比較的強く、60度で10分間加熱しても不活化されず、感染力がなくなりません。60度なら10時間の加熱処理で不活化されます。
このように、B型肝炎ウイルスは外部に出てからの耐性も強く、簡単には感染力を失いません。こういった特性も感染力の高さを助長していると言えるでしょう。

以前はB型肝炎ウイルスは消毒薬にも強いウイルスと考えられていました。1970年代にWHOがB型肝炎ウイルスの消毒に推奨していたのは、グルタラールやホルマリンといった強力な消毒薬でした。
その後、消毒用エタノール(80vol%)11度で2分間の接触で不活化することが確認され、さらに次亜塩素酸ナトリウム・ポビドンヨード・イソプロパノールによる不活化も確認されました。
こうして様々な薬剤による不活化が可能なことが判明してきたことで、現在、B型肝炎ウイルスは消毒薬に対してはあまり強くないと考えられています。

日本で使用できるB型肝炎ウイルスの消毒に有効な薬剤、消毒法は以下のとおりです。

 HBVを不活性化させる条件(チンパンジー動物感染実験の結果)

消毒薬(消毒法)濃度温度時間
グルタラール1w/v%
24℃2分
2w/v%20℃10分
0.1w/v%24℃5分
次亜塩素酸ナトリウム500ppm20℃10分
エタノール80vol%11℃2分
イソプロパノール70vol%20℃10分
ポビドンヨード有効ヨウ素80ppm20℃10分
加熱(煮沸)(98℃に上昇するまでに4分)98℃2分

 ヨシダ製薬株式会社webサイト「消毒薬テキスト」より抜粋

4. まとめ

B型肝炎ウイルスの感染力について見てきました。やや専門的な内容になっている部分もありますが、いかがでしたでしょうか?

B型肝炎ウイルスの感染プロセスが解明され始めてからまだ日が浅く、研究途上なところもあります。誰が感染していてもおかしくはないウイルスでもあるので、検査したことがない人は早めに一度検査を受けておくようにしましょう。

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