B型肝炎のB型ってなに? ウイルス性肝炎について

B型肝炎のB型というのは肝炎ウイルスの種類を表しています。
肝炎ウイルスが原因で起こる肝炎をウイルス性肝炎といい、B型肝炎はB型肝炎ウイルスというウイルスが原因となっています。
代表的なウイルス性肝炎は、B型肝炎とC型肝炎です。他にもA型、D型、E型といったウイルス性肝炎があります。また、F型、G型、TT型など、ウイルス性肝炎かどうかがはっきりしないものもあります。

[目次]

      1. ウイルス性肝炎について
      2. 肝炎ウイルスの種類

        (1)A型肝炎ウイルス

        (2)B型肝炎ウイルス

        (3)C型肝炎ウイルス

        (4)D型肝炎ウイルス

        (5)E型肝炎ウイルス

        (6)F型肝炎ウイルス

        (7)G型肝炎ウイルス

        (8)TT型肝炎ウイルス

        (9)その他の肝炎を引き起こすウイルス

      3. まとめ

1. ウイルス性肝炎について

主なウイルス性肝炎は、A型、B型、C型、D型、E型の5種類です。このうち日本での症例が圧倒的に多いのはB型肝炎とC型肝炎で、感染者はあわせて300万人以上と推計されています。D型肝炎は日本ではほとんど例がありません。

ウイルス性肝炎は、原因となる肝炎ウイルスの種類によって感染経路や発症後の経過が違います。例えば、A型肝炎とE型肝炎は水や食物などから経口感染しますが、B型肝炎とC型肝炎は経口感染はせず、主に血液から感染します。D型肝炎は少し特殊で、B型肝炎に感染しているときしか感染しません。

ウィルス性肝炎により実際に発症する肝炎は、大きく分けて急性肝炎と慢性肝炎があります。
急性肝炎は、ウイルスに感染すると急激に症状が出る肝炎です。
発熱、黄疸、全身倦怠感、嘔吐などの症状があり、通常は一定期間で収まります。しかし、まれに劇症肝炎という重い症状に進行し、そうなると致死率が高くなります。
慢性肝炎は、ウイルスに持続感染して発症する肝炎です。持続感染するとすぐに肝炎を発症するわけではなく、生涯発症しない場合もあります。
肝臓の障害が6ヶ月以上続いている状態を慢性肝炎といい、肝臓の細胞が継続的に破壊されるため組織が線維化して肝硬変へ進行することがあります。肝硬変になると、肝がんの発生リスクも高くなります。

全てのウイルス性肝炎で急性肝炎になる可能性があり、A型肝炎とE型肝炎はほとんどが急性肝炎です。B型肝炎とC型肝炎は持続感染といって身体の中にずっと残ることがあり、慢性肝炎を引き起こす原因になります。

肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査でわかります。日本での症例が多いB型肝炎やC型肝炎の検査は、職場の健康診断に含まれていたり、自治体で無料検査を実施していたりすることがありますので定期的に検査を受けるべきです。

2. 肝炎ウイルスの種類

(1)A型肝炎ウイルス

A型肝炎ウイルスは、主に一過性の急性肝炎を引き起こし、治った後は強い免疫ができます。

カキなどの貝類を生で食べることで感染することが多く、感染者の排泄物の中にウイルスが混じるので、上下水道の整備されていない発展途上国で感染が拡がりやすくなっています。

感染すると、15日から45日の潜伏期間の後に発症し、通常は1ヶ月から2ヶ月で治ります。0.1%ほどが劇症肝炎になりますが、慢性肝炎になることはありません。

(2)B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスは、急性肝炎も慢性肝炎も引き起こすウイルスです。

血液や体液の接触によって感染するため、医療従事者の針刺し事故や、刺青・ピアスなどの器具の消毒不足、性交渉などが感染経路となります。また、現在では対策がとられていますが、出産時に母子感染します。過去の集団予防接種では注射器の使い回しで多くの人が感染しています。

大人になってから感染すると、20%から30%の割合で急性肝炎を発症することがあります。その場合、30日から180日の潜伏期間の後に発症します。1%から2%が劇症肝炎になり、劇症肝炎になると致死率は70%から80%になります。欧米型のジェノタイプAというB型肝炎ウイルスに感染した場合、大人でも持続感染することがあります。

母子感染や幼少期に感染すると、多くが持続感染になります。キャリアとして10年以上経過してから、10%から15%が慢性肝炎を発症します。進行すると肝硬変、肝がんを発症します。

(3)C型肝炎ウイルス

C型肝炎ウイルスは、急性肝炎も慢性肝炎も引き起こすウイルスです。

主に血液を介して感染するため、医療従事者の針刺し事故や、刺青・ピアスなどの器具の消毒不足などが感染経路となります。性交渉による感染や母子感染はほとんどありません。
過去の輸血や血液製剤を原因とした薬害によって多くの人が感染しています。

急性肝炎の場合は15日から160日の潜伏期間の後に発症し、劇症肝炎に至るのは0.1%以下です。

感染者の70%ほどが持続感染となり、多くが慢性肝炎を発症します。進行は緩やかですが、肝硬変、肝がんに進行する可能性があります。

(4)D型肝炎ウイルス

D型肝炎ウイルスは、増殖の仕組みが不完全で、B型肝炎ウイルスと共存しないと増えることができません。感染するときは、B型肝炎に元々感染しているか、B型肝炎と同時に感染するか、ということになります。

感染するとB型肝炎による肝臓の障害をより悪化させます。肝硬変や肝がんに進行するリスクも増えます。

(5)E型肝炎ウイルス

E型肝炎はA型肝炎と似ているところが多く、主に一過性の急性肝炎を引き起こします。

日本等の先進国では、イノシシやシカなど、野生動物の肉を食べることで感染することがあり、発展途上国では感染者の排泄物に混じったウイルスから、汚染された水が原因となって感染が拡がります。主に海外で感染してくるものと考えられていて、日本ではほとんど発生しません。

感染すると、15日から60日の潜伏期間の後に発症します。2%から5%ほどが劇症肝炎になりますが、慢性肝炎になることはありません。

A型肝炎に似てはいますが、致死率はA型肝炎の10倍といわれます。

(6)F型肝炎ウイルス

F型肝炎ウイルスは、1994年に発見され、肝炎との関連が考えられていました。

動物実験では肝炎が引き起こされましたが、その後の研究ではウイルスの存在が確認できず、公式には肝炎ウイルスと認定されていません。

(7)G型肝炎ウイルス

G型肝炎ウイルスは、1996年に発見されました。

症例がごく僅かなため、このウイルスが本当に肝炎の原因となるのかはまだはっきり分かっていません。

(8)TT型肝炎ウイルス

TT型肝炎ウイルスは、1997年に日本人科学者によって発見されました。

まだ研究途上のウイルスで、現時点では肝炎ウイルスとは認定されていません。

(9)その他の肝炎を引き起こすウイルス

肝炎ウイルスと呼ばれるもの以外にも、EBウイルス・サイトメガロウイルスなどのウイルスが肝炎を引き起こすことがあります。

3. まとめ

ウイルス性肝炎には様々な種類があり、深刻な症状を引き起こすものもあります。しかし、近年は医療の進歩も著しく、効果的な抗ウイルス薬も新たに開発されています。早期発見・早期治療ができれば、完治も期待できるようになってきています。

肝炎ウイルスキャリアの方でも、定期的に検査を受けて健康管理をしていれば、日常生活にはほとんど影響はありません。

肝炎検査をしたことがない方は、一度は必ず検査を受けましょう。

大切なのは正しい理解、そして検査と予防です。

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